2017/5/26

長文考察がしたいオタクになったので書いた。
結構長いです。でも読みやすくしたつもり。

荒木比奈が五年間で得たものは何か?
荒木比奈にとって「脱オタ」とはなんなのか?というおはなし。
(‘17/7/7 微改稿)
(‘19/2/16 微改稿)

※注意
・この記事には筆者が力尽きたために、 画像がありません
・台詞は正確に引用するよう心がけていますが、適宜リンクを参照しながらお読みください。

・この記事は筆者独自の考えが五割、
筆者が色んな意見を見て咀嚼したこと五割くらいで構成されています。
なるべく自分の言葉で再構成したつもりですが、
他人の言葉が混じっているかもしれません。ご了承ください。

<参考>
荒木比奈の台詞一覧(モバマス) -iM@S-CG Words Search (β)
荒木比奈の台詞一覧(デレステ) -gamerch wiki
荒木比奈 カード一覧 -IM@S CG DB
荒木比奈 -pixiv大百科

この記事を読まれる方は荒木比奈というキャラが大雑把に言うとどういう子か、
大体のところはわかってると思われます。

クール属性、4/9生まれの20歳。出身は神奈川で本人曰くハマッ子、趣味は漫画描く。
半ニートのオタクが、Pにスカウトされキラキラのアイドル生活に。
まさにシンデレラストーリーです。
とは言っても趣味の同人もしっかり続ける地味にすごいやつです。

主ジャンルは魔法少女モノ?の比較的なんでも行ける口、
徹夜でアニメ鑑賞は日常茶飯事、
おまけ目当てで爆買いした栄養ドリンクもきっちり消費、
少女魔道士には屈強な中年戦士が鉄板のノマカプ派、
年二回のお祭りにはもちろん足を運び、
高校生にしてオフセ本でサークル参加してしまう
どこに出しても恥ずかしくないオタクです。

さて、そんなシンデレラのミスオタクこと荒木比奈さんですが
最初期には「脱オタ」という衝撃的なワードが飛び出します。

今、『脱オタアイドル奮戦記』序章のネームを切ってるんス。
大作かなー
(デレステN)
いちおう脱オタ済っスから。普段着は自分で選んでるっスよ?
お母さんチョイスは卒業したっス
(ぷちデレラ)

当時はもしかしたら、この子は今後脱オタする路線で
成長していく予定だったのかもわかりませんが、
少なくとも今、これを見た俺らはこう思うはずです。私も思いました。

**「いや、お前結局脱オタしてねーじゃん!」**と。

事実この後オタク趣味から卒業するなんてことはなく、
むしろ以前よりどっぷり嵌っているような様子すら見て取れます。
実は、脱オタ=オタク趣味からの卒業、でないことは
N+の時点で比奈自身が認めています。

プロデューサー、私脱オタしましたけど漫画はまだ描くんですよっ!(N+)

ということは。
荒木比奈は脱オタするする詐欺をしていたわけではなく、
「脱オタ」=「オタク趣味から卒業する」という我々の認識が間違っていたのです。

では、荒木比奈が言うところの「脱オタ」とは何なのでしょうか。
「脱オタ」でぐぐってみると、Wikipediaがヒットしました。

脱オタク(だつオタク)とは ・オタクである状態・もしくはオタク的な趣味(アニメ・漫画など)をやめること。 ・いわゆるオタクっぽい言動・服装(→秋葉系)をやめること

Wikipediaにかいてあることを丸呑みするのは危険ですが、
この定義はあまり的を外れてはいないように思います。ちょっと口語調がすぎるけれど
1つめの定義は先述のようにあてはまりませんから、
2つめの定義について見ていきましょう。

デレステにおいて、N荒木比奈は
ジャージ姿で街を歩いているところをスカウトされました。
彼女が自主的にオーディションを受けに来るとも考えづらいですから、
モバマスでも概ね同じような採用経緯とみて良いでしょう。
おそらく、スカウト当時の彼女には
回りからの視線を気にして自分を飾るという発想がなかった、と推察されます。
ジャージがいわゆるアキバ系なのかどうかは知りませんが、
おしゃれとは程遠い服装なことは間違いありません。

それがN+では、眼鏡も外し、可愛い衣装を着てはしゃいでいます。
自分を飾ることの楽しさに気づいた様子です。
事実、この後、自分をどうせ日陰者だから、と否定してしまうカードはありません。

つまり荒木比奈にとっての「脱オタ」とは、
**「身なりに興味のなかった自分にサヨナラし、おしゃれをする」**ことだったのでは?

ここまで読んだ皆様はこう思ったと思います。

**「仮にそうだとしてもお前脱オタできてねーじゃん!」**と。

そうです。この後もこの子はおしゃれとは言えない格好で
幾度となくPの前に現れます。お母さんセレクトのほうがよかったのでは?
【参照】ブルーフロートパーティ・ライトニングモーニング
メロントレーナーはお洒落だという人がいたら是非コメントを。
Pの前だからラフな可能性は否定はできませんが、
宅急便の応対に寝間着姿で出てくるような奴です。そうは思えません。
こころペイントとかを見るにお洒落も覚え始めたようなので、
先の定義も全く的外れでもありませんが、本質でもありません。

こうして考えると、
「脱オタ」とは、服がどうこう、漫画がどうこう、ではなく
もっと抽象的なもののように思えてきます。
それを探るために、比奈の歩み全体を見てみましょう。

5年の時の流れの中で、アイドルたちは少なからず成長しています。
たとえば岡崎泰葉などはその顕著な例ではないでしょうか。
荒木比奈にもなにかそういう成長があるはずです。
そう思って台詞を読み返してみると、
目に見えてわかりやすい成長こそありませんが、いろんなことが見えてきます。

「華やかな世界の住人じゃないんで、いいんでスよー…。」(N)
とPのスカウトを考えもせず断ろうとした
アイドルは無理だと決めつけていた

・が、N+以降はアイドルになった自分を楽しんでいる様子が見て取れる
自分の新たな可能性に気がついた

「今描いてるのは自信作なんでス!」(サイバー)
「いやー年末のアレの原稿が今朝入稿出来たんで」(クリスマス)
「なにせ年二回はお祭りに参加してるっスから」(花咲く舞姿)
「趣味は、やめられないっス!」(こころ)
「サークルの申込み、落ちにくくなった気が」(ネクスト)
等、 同人趣味にも精を出し、

 「アイドル絵師、比奈の登場! 」(こころ)
「特技を生かせるLIVE、素晴らしいっスね!」(こころ)
「メニュー用のイラストなら任せて欲しいっス。気合い入れて描くっスよ!」(青き日)
等、 それを武器にできることにも気づいた。

・中期~現在にかけて、
「人間無理は良くない」(ライトニング)
「いつでも私は私」「私の深い色」(ナイト)
「マイペースを保つ」(TB)などのワードが伺える。
肩に力を入れない、自然体のスタンスでいる

「アタシたちのひな祭り始めてくるっスよ!」(花咲く舞姿)
「私もこうなったら精一杯楽しんでやるっス」(ブルフロ)
「今日は私が、アイドル漫画の主人公!」(ネクスト)
など、 メインヒロインのポジションを目一杯楽しむ一方で

 「影から見守るのが私の役割」(TB)
「サポートキャラは美味しいポジション」(TB)
「ここがちょうど心地よい距離」(青き日)(要約)
「混ざるよりも、こうして眺めていたい」(なつやすみ)など、
自らの意志で一歩引いた立ち位置を取ることも多い
Pと二人でいれるからって解釈も可能なので微妙ですけどね。

・初期~中期は、可愛い衣装は自分には不相応ではないか、
自分がこのような場所にいていいのか、と不安を見せていたが
そのような言及がだんだん減っていく、特に最新のTBでは全くない
今の自分に自信を持ち始めている

ざっとこんなところでしょうか。

以上をまとめると
「荒木比奈は自分は日陰者で、アイドルなんて無理だと考えていたが、Pのおかげで自分も可愛いメインヒロインになれると気づいた。しかし以前の日陰者だった自分と決別したわけではなく、メインヒロインもサポートキャラも、キラキラな装飾もアングラな趣味もすべて自分の色に染め上げ、そんな自分に確固たる自信を持てるようになった」
となるでしょうか。荒木比奈が5年間で得たものは、そんな新しい自分でした。

長らく回り道をしてきましたが、
Nで比奈が言及した「脱オタ」とは一体何なのでしょうか?

上にあげた成長のうちでN→N+で起こった変化は、
「日陰者だと思っていた自分の、新たな可能性に気がついた」ということです。

考えてみましょう。
荒木比奈は自分を華やかな世界の住人ではない日陰者だと思っていましたが、
あっさりスカウトに応じ、プロダクションに転がり込んできました。
本当に無理だと思っているなら、果たしてスカウトに応じるでしょうか?

つまり荒木比奈は、おそらくはメインヒロインに憧れながら
それは自分には無理だと諦めていた
のです。
ああ見えて自己分析は上手な彼女のことですから、
自分にはサポートキャラのほうがお似合いだ、と思っていたのかもしれません。

心の何処かで、メインヒロインになれるかも、という期待があったからこそ
比奈はスカウトに応じたのでしょう。
そして比奈は今や、メインヒロインは言うに及ばず、
サポートキャラをもみごとに両立しています。

つまり「新たな可能性に気がついた」とは、言い換えれば
「可能性はそこにあったが、自分で可能性を閉じていただけ」
だと気がついた、比奈の言葉を借りれば
「あきらめたフリは、もうナシで!」(ネクスト)ということです。

自らの可能性を信じて、最初から諦めたりしないこと。
これこそが比奈にとっての「脱オタ」だと言って良いでしょう。
SSR+のこの台詞のための、5年がかりの伏線だったと言っても過言ではありません。
いや言い過ぎました。過言です。

荒木比奈は見事に脱オタに成功し、ここ最近ではPも驚くくらいのスピードで
華やかな舞踏会の開かれるお城への階段を駆け登ってきました。
先の第六回シンデレラガール総選挙では4位を獲得し、ボイス実装の運びとなりました。
曲も歌い露出も増えるでしょう。新たな繋がりもできるかもしれません。
ボイス実装はゴールなんかではなく、飛躍点です。

彼女がアイドルとして大成することは、 本人にとってはギャグ漫画。 しかしファンにとっては感動巨編である。
- 荒木比奈のポスター①

感動巨編「アイドル・荒木比奈」の物語は、まだ始まったばかりです。

「漫画の基本は起承転結!今の私は…『承』くらいっスかね?」

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